子育て世代にとって、将来の教育資金の準備は常に大きな課題です。高校や大学の進学費用はもちろん、留学や資格取得など、子どもの可能性を広げるためには多額の資金が必要になります。
そんな中で注目されているのが、「こども支援NISA(仮称)」という新たな非課税投資制度。これは、2023年で終了した「ジュニアNISA」に代わる制度として、2026年の導入を目指して政府や与党内で検討が進められているものです。
今回は、この「こども支援NISA」がどのような制度なのか、ジュニアNISAとの違いやメリット、注意点などを独立系FPがわかりやすくまとめていきます。
監修者情報:芳川 宏輔

株式会社ウィンカム
CFP認定ファイナンシャルプランナー
金融商品・保険商品を一切販売せずコンサルティングに徹するFP。
保険・住宅ローン・資産運用・NISA等サポートは多岐に渡る。
年間100回以上の面談を実施し、延べ相談実績は300回を超える。
こども支援NISAとは?
こども支援NISA(仮称)は、未成年の子ども名義で投資信託などを非課税で運用できる制度です。2024年に本格スタートした新NISA制度は、原則として20歳以上が対象ですが、こども支援NISAでは18歳未満の未成年者も非課税で資産形成できるようにする方向で議論されています。
この制度は、児童手当などの公的支援に加えて、家庭内での資産形成を後押しし、子どもの教育資金や将来の自立資金の準備に役立ててもらうことを目的としています。
なお、こども支援NISAの制度設計については、まだ詳細が確定しておらず、2025年末の税制改正に向けて調整が進められています。
ジュニアNISAとの違いは?
こども支援NISAは、2023年に終了した「ジュニアNISA」と多くの共通点がありますが、その改善版とも言える制度です。
比較項目 | ジュニアNISA(2016〜2023) | こども支援NISA(案) |
---|---|---|
対象年齢 | 0~19歳 | 0~17歳(18歳未満) |
非課税枠 | 年間80万円まで | 年間上限は未定(つみたて重視) |
運用商品 | 株式・投資信託など | 投資信託中心になる可能性 |
引き出し制限 | 18歳まで原則引き出し不可 | 教育目的での引き出しは可の方向 |
ジュニアNISAは制度の考え方はよかったものの、18歳まで原則引き出せないという制限がネックになり、利用者が伸び悩みました。私も実際に自分の子供のジュニアNISAを開設しておりますが、現在は、積立もできず、引き出しもできず何も対応ができていないので、非常に不便を感じています。こども支援NISAでは、教育資金の必要時に柔軟に引き出せるよう設計される可能性があり、より実用的な制度になることが期待されています。
こども支援NISAのメリット
1. 教育資金の計画的な準備に最適
0歳~積立をすることが出来れば、出産祝いや児童手当、お年玉など子供がもらったものを、投資に回すことで、小さいうちからコツコツと投資を始めることで、大学進学時などの教育費に備えることができます。子供に「あの時私(僕)が貰ったお年玉お母さん(お父さん)使ったでしょ!」なんて事も無くなるかもしれません。
またNISA枠内で得た運用益は非課税となるため、効率的な資産形成が可能です。
2. 複利効果で資産が増えやすい
たとえば年間10万円を15年間積み立て、年平均4%の運用をした場合、元本150万円に対して運用益が約70万円つき、合計220万円以上になります。長期積立+非課税効果=複利の力を活かすことで、将来の負担を軽減できます。
3. 子どもの金融教育にもつながる
「お金を増やす仕組み」や「投資への理解」を親子で学ぶ絶好の機会になります。成人後の資産形成をスムーズに始める土台作りにもなるでしょう。私が例えばこの制度を使うのであれば、子供のために頂いたお金は全てこの制度内で運用して18歳になった時点で、お金を増やす仕組みや資産運用について金融教育をした上で全てのお金を託して使ってもいいし、引き続き運用をしていくのもいいかなと考えています。(本音はこっちがいいですが)
注意点・デメリットは?
まだ制度が検討段階であることから、以下の点には注意が必要です。
- 制度内容(非課税枠・引き出し条件など)は変更の可能性あり
- 投資商品によっては元本割れのリスクがある
- 名義は子どもになるため、資金の使い道や管理の在り方を明確にする必要がある
- 教育資金の「確実な準備」が必要な家庭では、投資とのバランスが重要
資産運用について一番避けなければいけないのは、元本割れです。
過去のデータから見ると、いくら分散投資をしても、過去20年のデータを分析すると5年以内の運用成績では元本割れをしている割合も多いので、投資に回すお金については慎重に検討する必要があります。
独立系FPの観点からは、過去の運用成績からみても、10年以内に使う予定のあるお金、例えば
「高校入学金の支払いが2年後にある」「大学入学金が5年以内にある」「3年後に海外留学させたい」など直近の支出予定がある場合は、預貯金や定期積立と併用するのが現実的です。
今からできる準備は?
親のNISA口座で教育資金を運用
こども支援NISAの導入を待つ間、何もしないのはもったいないのでまずは親のNISA口座を使って教育資金を積み立てるのが現実的です。ご両親自体がNISAをやっていなければ子供への説明や理解も追いつかないため、先に始めていきましょう。つみたて投資枠を活用すれば、少額からでも長期運用のメリットを享受できます。
余剰資金を確保しておきましょう
こども支援NISAの開始を見越して、お金もしっかり貯めていきましょう。このタイミングで、家計の見直しや保険の見直しや住宅ローンの見直しを実行し、将来的にどう資金を使うか、何に備えるかを家族で話し合っておくのも良い機会です。
情報をしっかり把握して捉えておきましょう
冒頭申し上げたようにまだどうなるかは全く決定しておりません。施行されるか、はたまた頓挫するのか、制度が最終的にどうなるのかなど定期的に情報をチェックしていきましょう。
独立系FPはどう使う?
筆者の場合は、仮に制度が開始した際には、直ぐに始めるのではなく、まずは制度について理解することからスタートします。その上で制度上メリットが大きければ、開設し、ジュニアNISAから移行できる場合には、こども支援NISAに移動します。運用の原資としては、「児童手当+お年玉+お祝い金」を充てて運用をしていきます。年間の上限額が不明ですが、恐らく贈与税との絡みもあるので、年間110万円を越えない範囲で、拠出することになるでしょう。
また物心着いたタイミングで、投資教育を家庭でしっかりしたうえで、高校生くらいからは、運用を本人に任せて、アルバイトなどを積立てもよし。好きに使ってもよし。基本的には本人に任せたいと思います。
監修者情報:芳川 宏輔

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金融商品・保険商品を一切販売せずコンサルティングに徹するFP。
保険・住宅ローン・資産運用・NISA等サポートは多岐に渡る。
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まとめ|こどもの未来を“非課税”で支える準備を
こども支援NISAは、教育資金や将来の自立資金を効率的に準備できる、非常に魅力的な制度になる可能性があります。正式な開始は2026年以降の見込みですが、今からできる準備を始めることで、制度がスタートしたときにスムーズに活用できるようになります。
資産形成は一朝一夕にはいきません。だからこそ「早く」「少しずつ」「確実に」始めることが、家族の安心につながります。
お子さまの未来のために、こども支援NISAを視野に入れながら、今できる第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?
※この記事は2025年8月時点の情報をもとに執筆しています。制度の詳細は今後変更される可能性がありますので、最新情報は金融庁や関連機関の発表をご確認ください。

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