FP情報:芳川 宏輔

株式会社ウィンカム
CFP認定ファイナンシャルプランナー
金融商品・保険商品を一切販売せずコンサルティングに徹するFP。
保険・住宅ローン・資産運用・NISA等サポートは多岐に渡る。
年間100回以上の面談を実施し、延べ相談実績は300回を超える。
医薬品業界からFPへ!キャリアチェンジの契機とFPとしての想い
パーソナルな背景とキャリアについて

コーパス編集部:
今回は、ファイナンシャルプランナー(FP)の中でもかなり珍しい、独立系かつ有料での相談を事業として行っている芳川さんにお話を伺います。
よろしくお願いします。

はい、よろしくお願いします。
コーパス編集部:
では簡単にプロフィールをお聞きしてもよろしいでしょうか。

私は現在30代で茨城に住んでおり、いわゆる「独立系の有料相談FP」として活動しています。
コーパス編集部:
ありがとうございます。
芳川さんのプロフィールは私共の方でも事前に把握しているのですが珍しい経歴をお持ちのようで、以前は医薬品メーカーに就職されていたご経験があり、その後お母様が経営するFP事務所に所属されているということも伺っています。
キャリア転換のきっかけ
コーパス編集部:
医薬品メーカーからファイナンシャルプランナー(FP)に転職されたという経歴は、非常に珍しいと思います。
元々、どうして医薬品メーカーに入社され、その後FPに転職しようと思ったのですか?

医薬品メーカーを選んだのは、実は家が近かったからという理由が大きかったんです(笑)。
また、中国に1年間留学していた経験もあり、中国との仕事ができる会社を希望していました。
その会社は中国にも支店があったので、入社を決めました。
しかし、営業の仕事をする中で、早い段階で出世も見えてきたんですが、楽しさを感じられなくなったんです。
その時、母が病気を発症したこともあり、事務所を引き継ぐタイミングが重なり、思い切ってFPの世界に飛び込んだんです。
コーパス編集部:
なるほど。
それが約3年半前のことだったんですね。
医薬品メーカーでの経験が、今のFPの仕事に生かされている部分はありますか?

営業としてお客様と接する経験が、今の仕事にも大きく役立っています。
当時はBtoBの営業でしたが、FPとしてもお客様のニーズを聞き、その解決策を提案するという点では共通しています
また、初対面の方と打ち解けるためのアイスブレイクの方法も、今の仕事に生かされていますね。
若手FPとしての立場
コーパス編集部:
芳川さんは30代ということで、FP業界では比較的若い方だと思います。
業界内でご自身が若手だと感じることはありますか?

そうですね。50代以降が中心の業界ですので、自分が「若手の若手」だと感じることが多いです。
そのため、業界内では若手として注目されることが多いですね。
コーパス編集部:
若さが仕事においてメリットやデメリットとして感じられることはありますか?

デメリットとしては、やはり経験や引き出しの少なさを感じます。
お客様の中には、「若者に老後の話をしても…」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
一方で、若さがメリットになることもあります。
特に若い世代の方々は、同世代のFPに相談しやすいと感じることが多いようです。
また、長期的なお付き合いが可能な点も、若いFPの強みだと思います。
お客様とのコミュニケーション
コーパス編集部:
お客様と接する際に、特に意識していることはありますか?

特にアイスブレイクは意識しています。
お金や相続に関する話は、他人にはあまり話したくない内容ですよね。
ですので、まずは信頼関係を築き、お客様が話しやすい雰囲気を作ることを大切にしています。
いきなりお金の話を切り出すのではなく、リラックスした会話を心がけています。
コーパス編集部:
お客様が話しやすい雰囲気作りが大切なんですね。
お客様との会話で印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

大手出版社を経営しているお客様の相談が印象に残っています。
彼は1億2千万円の土地を購入して、合計で2億の予算で家を建てたいという大きな夢を持っていました。
一緒にビジネスプランを考えながらサポートすることが非常に楽しかったです。
夢の実現を手助けできるのは、やりがいのある仕事だと感じます。
ファイナンシャルプランナーの役割
コーパス編集部:
FPの役割はライフプランの作成や運用のサポートというイメージがありますが、ビジネスの相談にまで対応できるものなんですね。

そうですね。
個人の財務状況を見ながら、事業計画も一緒に立てることができます。
税理士や行政書士など、他の専門家との連携も含め、FPはお客様の中心的な存在として、様々な分野でサポートできる仕事だと思っています。
応援団長としてのモットー
コーパス編集部:
芳川さんのお仕事に対する理念やモットーについてお聞かせください。

私は「お客様を応援する応援団長」でありたいと思っています。
FPの仕事は単に運用やライフプランの作成だけではなく、その人の人生全体を応援することだと思っています。
時にはお金以外の面でのサポートも行い、その方の夢や目標を応援する。
それが私のモットーです。
無料相談と有料相談の違いは?独立系FPの特徴とメリット
有料相談のFPと無料相談の違い

コーパス編集部:
それでは次のテーマに移りたいと思います。
今回は有料相談のファイナンシャルプランナー(FP)や、独立系FPについて伺います。
芳川さんは有料相談をされているFPということで、その特徴やメリット・デメリットをお聞きしたいのですが、無料相談のFPと比較してお話いただけますか?

はい、やはり有料相談のFPは商品販売を一切行わないという点が大きな特徴です。
これは顧客本位で利益相反を起こさないということで、完全にお客様ファーストで対応できる点が大きなメリットです。
無料相談を提供している窓口やパートナー企業も多いですが、それらは保険会社や金融機関からのキャッシュバックが主な収入源になっています。
そうなると、どうしても高い手数料が得られる商品を優先して提案してしまう傾向があると思います。
その点、有料相談は報酬が相談料のみなので、利益相反がないということが大きな違いですね。
有料相談での仕事スタイル
「商品ありき」ではない相談
コーパス編集部:
お客様にしっかり向き合い、傾聴力を活かした提案ができるという点で、有料相談のシステムと芳川さんのスタイルは相性が良いと感じました。
もし芳川さんが無料相談のFPとして活動していたら、今とは異なる仕事のスタイルになっていたと思いますか?

そうですね、全く違っていたと思います。
無料相談であれば、どうしても背後に商品があって、それを売るための提案になってしまいます。
お客様の話を聞きながら「この商品をどう提案しようか」と考えてしまう場面も増えるでしょう。
そうなると、傾聴よりも「どう売るか」という視点が優先されると思います。
また、商品提案が中心になると、お客様のためになるサポートを積極的に行う動機が薄れがちです。
その意味で、有料相談でのスタンスが私の仕事には合っていると感じますね。
独立系FPとは?
コーパス編集部:
次に、「独立系FP」という言葉について一般の方にとっては少し分かりにくいと感じるのですが、どう定義するのがわかりやすいでしょうか?

確かに独立系FPという言葉は曖昧ですね。
独立系FPと対比されるのは「企業系FP」ですね。
保険会社や金融機関に所属していないFPが独立系とされますが、実際には保険を販売する独立系FPも存在します。
ですので、私が定義するなら「金融商品や保険商品を一切販売しないFP」が真の独立系FPだと言えると思います。
有料相談のFPの現状と課題
独立系FPは少ない
コーパス編集部:
有料相談を行うFPの数は、無料相談を提供するFPと比べると非常に少ない印象を受けます。
その理由や背景について、どのようにお考えですか?

そうですね、全体のFPのうち、有料相談を行っている独立系FPは本当に少ないです。
理由はやはり、相談料だけで事業を行うことの難しさにあります。
保険商品や金融商品を販売していないと収入の確保が難しく、集客も課題です。
また、独立系FPの認知度が低いことも原因の一つです。
FP自体の認知、広がり
コーパス編集部:
確かに、一般のお客様に独立系FPのメリットが伝わりにくい部分もありますね。日本では特にFPという職業自体がまだ発展途上にある印象を受けますが、その点についてどう感じていますか?

おっしゃる通りです。
例えば、アメリカではFPは弁護士や医者と同等に稼げる憧れの職業とされていますが、日本では金融機関や保険との関わりが強く、FPが「中立的なアドバイザー」として認知されていません。
さらに、日本人は「貯蓄文化」が強く、資産運用への関心が低いため、FPの必要性を感じる方が少ないということも影響しています。
今後のFP業界の展望
中立的なアドバイスを
コーパス編集部:
今後、有料相談を行うFPは増えていくべきだとお考えですか?

はい、増えていくべきだと思います。
クライアントファーストで中立的なアドバイスを提供できるFPが増えれば、私としても嬉しいことです。
国もNISAの普及を通じて、資産運用立国を目指しているようですので、その流れに乗って中立的なアドバイザーが増えていくことを期待しています。
ノウハウやスキルを高め、共有
コーパス編集部:
そうですね、制度の後押しも重要ですが、それ以外に業界全体が変わっていくために必要なことは何でしょうか?

国の制度だけでなく、独立系FPが食べていけるノウハウや、適切な顧客対応のスキルを広めることも重要です。
FPとしてのキャリアを成功させた先輩方が、実際に食べていけることを示し、業界全体で知識や技術を共有していくことが必要だと思います。
事務所の将来像
コーパス編集部:
現在、事務所は芳川さんとお母様の2人で運営されているとのことですが、今後、事務所を拡大する計画はありますか?

はい、今後は妻も事務所に参加してもらい、バックオフィスを担ってもらう予定です。
また、女性のクライアントには女性のFPが相談しやすいというニーズがあるので、妻の力も活かしたいです。
さらに、茨城県内でナンバーワンの事務所を目指し、10年以内に5人ほどのスタッフを抱える規模に成長させたいと考えています。
お客様を長期的にサポートするためには、事務所の体制をしっかり整え、ビジネスの継続性を確保することが重要だと思っています。
家計改善から資産運用まで、FPが教える成功の秘訣とは?
家計改善の重要ポイント

コーパス編集部:
事前のアンケートで芳川さんが得意とされているジャンルとして、「家計の改善」「人生設計」「教育資金」「資産運用」「お金の勉強」を挙げていただきました。
これらについて、それぞれのアドバイスや見どころを簡単に教えていただけますか?
まずは「家計の改善」についてお伺いします。
収入と支出を把握する

家計改善は、まず収入と支出を正確に把握することが最も重要です。
多くのお客様は収入は把握しているものの、支出をしっかりと把握していないことが多いですね。
私の体感では、8割ほどのお客様 がそうです。
なので、まずは収支の「見える化」が第一歩です。
コーパス編集部:
収入と支出をしっかりと見える化することが第一歩なんですね。
具体的な削減ポイントなどもありますか?
固定費の削減

そうですね。よく言われるのが「固定費の削減」です。
ネットでもよく見るアドバイスですが、それよりもまず収支バランスを把握することが大事です。
例えば、家賃を減らそうといっても、生活水準を大幅に下げるのは難しいので、生活の質を落とさずに改善できるところを探ります。
人生設計の考え方
コーパス編集部:
次は「人生設計」について伺います。
人生設計という言葉は少し抽象的ですが、芳川さんのアプローチはどのようなものでしょうか?
未来をどのように生きたいか

人生設計は、未来をどのように生きたいかを考えることですね。
多くのお客様は1ヶ月後や数ヶ月後の生活については考えていますが、5年後や10年後についてはあまり考えていないことが多いです。
そこで、ライフプランの作成を通じて将来の目標や夢を具体化し、「どう生きていくか」を考えてもらうサポートをしています。
コーパス編集部:
具体的には、どのような質問をして人生設計の手助けをされるのですか?
人生の全体像を描く

例えば、「将来どこかに旅行に行きたいですか?」とか、
「犬を飼っているなら、老後も一緒に過ごしたいですか?」
といった日常的な質問から始めます。
そうすると、意外な目標や夢が浮かび上がってきます。
それを元に、人生の全体像を描いていく作業を一緒に進めることが多いですね。
資産運用のアドバイス
コーパス編集部:
次は「資産運用」について伺います。
近年、資産運用への関心が高まっていますが、芳川さんがアドバイスする際に特に意識している点は何でしょうか?
資産運用の目的・目標を明確に

資産運用を始める際に一番大事なのは、「なぜ資産運用をするのか」という目的を明確にすることです。
運用にはリスクが伴いますが、目的があればそのリスクに対してどう取り組むかが明確になります。
しっかりとリスクを認識した上で始めるべきだと思いますし、運用する目的がなければ無理に運用しなくてもいい場合もあります。
コーパス編集部:
目的を持つことが大切だということですね。
具体的には、どのような目的が多いのでしょうか?

例えば「老後の資金」や「家を購入するための資金」などが典型的です。
また、年齢やリスク許容度に応じてアプローチを変える必要もあります。
若い方なら多少リスクを取っても良いですが、リタイアが近い方には保守的な運用をアドバイスします。
投資のアドバイスとリスク管理
コーパス編集部:
資産運用に関連して「投資」についても伺います。
昨今はネットやYouTubeで投資情報が溢れていますが、芳川さんのアドバイスはどのようなものでしょうか?
リスクとリターンのバランスを理解

情報が多い今の時代、投資を始める際に
「この商品が良い」とか
「これを買っておけば間違いない」
という情報もたくさんありますが、それが本当にその方に合っているかは別問題です。
そこで重要なのは、投資を始める目的をまず明確にし、それに基づいた運用方法を提案することです。
また、リスクとリターンのバランスをしっかりと理解してもらうことも大事ですね。
コーパス編集部:
目的が明確でないと、投資の成功も難しいということでしょうか?
ライフステージによっても様々

そうですね。
目的がないまま周りに流されて投資を始めてしまうと、なんで運用しているんだっけ?と戸惑うこともあります。
また、同じ投資商品でも、その人のライフステージによって最適なものは変わってくるので、個々に合わせた提案が必要です。
FPが新NISAやiDeCoを活用した実際に行っている投資術とは?
専門家が行う資産運用の実態

ここでは独立系FPの芳川さんが実際に行っている投資について触れていきます。
話題の新NISAやiDeCoについてのお考えもインタビューしました。
コーパス編集部:
芳川さんが実際にどのような資産運用や投資を行っているのか、専門家の視点からお話しいただけますか?

私もNISAをフル活用しています。
年360万円の上限を有効に使い、基本は積立投資を中心に行っています。
投資先としては、株式と債券のインデックスファンドを組み合わせています。
割合は株式70%、債券30%くらいです。
かなり堅実な運用で、派手さはないですが、長期的には安定した運用が期待できると思います。
コーパス編集部:
一括投資と積立投資の違いについて、どうお考えですか?

経済合理性の観点からは一括投資が最も効率が良いというデータもあります。
ただ、人間の感情が絡むので、タイミングによっては「もっと待てばよかった」という後悔が生じやすいです。
そういった不安を避けたい方は、積立投資の方が安心感があるでしょうね。
お金の勉強の必要性とFPの役割
コーパス編集部:
最近、金融教育の必要性が叫ばれていますが、一般の人もお金の勉強をするべきだと思いますか?

絶対に学んでほしいですね。
投資や金融商品については、最低限の知識があれば、専門家に頼った際にも自分で判断ができるようになります。
FP3級レベルの知識は、国民全員が持っていても良いと思います。
コーパス編集部:
専門家に丸投げするのではなく、自分でも理解しておくことが大事ということですね?

そうです。丸投げしてしまうと、悪徳な専門家に騙されるリスクもあります。
自分の金融リテラシーを高め、専門家のアドバイスが正しいかどうか判断できるようになることが重要です。
資産運用と投資の心構え
コーパス編集部:
資産運用でリスクをとるかどうかの判断は、どのように行うべきでしょうか?

資産運用はリスクとリターンのバランスが大事です。
たとえば、年齢や収入によってリスク許容度は変わります。
若い方であればリスクを取っても良いですが、リタイアに近い方は、より保守的な運用を考えるべきです。
大事なのは「なぜ運用をするのか」という目的を明確にすることです。
投資のポートフォリオとバランスの重要性
コーパス編集部:
最近は「これだけ投資しておけば間違いない」という情報も見受けられますが、偏った投資はリスクが大きいですよね?

はい。投資の基本はポートフォリオのバランスです。
NISAで投資信託を運用している人でも、他の資産を含めて全体のバランスが偏っているケースがあります。
例えば、実家の不動産や親から受け継いだ株式など、全てを考慮した上でバランスをとることが重要です。
投資の制度とふるさと納税の位置づけ
コーパス編集部:
NISAやiDeCo、ふるさと納税など、一般の方が活用できる投資制度についての考えをお聞かせください。

NISAはまず最初に活用すべき制度です。
非課税で運用できるため、非常に有利です。
iDeCoも老後資金を確保するのに最適ですが、60歳まで引き出せないというデメリットもありますので、注意が必要です。
ふるさと納税は節税というよりも、2000円の負担でお得な返礼品をもらう制度と考えた方が良いでしょう。
政治や制度変更がFP業務に与える影響
コーパス編集部:
総裁選や東京都知事選など、政治の動きが大きくなる局面で、FPの視点からどういう影響が考えられますか?

政治的な動きや制度の変更は、FPの業務にも影響を与えます。
例えば、年収の壁の撤廃が進めば、共働き世帯の収入が増え、家計全体のライフプランに大きな影響を与える可能性があります。
FPとしては、そういった制度の変化を常に注視し、お客様に最適な提案をできるように準備しておく必要がありますね。
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