

金融庁が来春にも実施する保険販売の監督指針改正について、保険業界にとっては逆風に、そして独立系FPにとっては追い風になるかもしれません。
この改正の背景にあるのは、ビッグモーターやマネードクターで明るみに出た保険が絡む不正事案です。便宜供与を受けた代理店が特定の保険会社の商品を優先的に勧める「テリトリー制度」は、長年生保、損保業界に長く根付いていました。皆さまも保険の見直しをしに行ったら、特定の商品保険だけを提案されたという経験は多くの人が経験しているのではないでしょうか。
今回の改正は、こうした構造的問題にメスを入れる改正となります。金融庁は「抜け穴」も塞ぐ姿勢を明確にしていて、今後は保険業界は真の意味で顧客本位への転換を迫られるかもしれません。
改正で広がるメリット:顧客が本当に必要な保険を選べる時代へ
まずはこの改正については、顧客に対しては明らかにメリットが大きくなります。最大のメリットは代理店の都合ではなく自分のニーズに合った商品を提案してもらえるようになることです。本来からそうであるべきなのですが、悲しいことにこれまでは手数料の高い商品(代理店ファースト)に誘導されるが多々ありました。制度改正後は、複数商品の提示が義務化されることで商品の透明性が高まり、商品を公平に検討することができるようになります。
また、真に顧客のことを考える代理店が評価される環境が整うことで、販売員も顧客が比較検討できるように多様な商品知識が求められるため、販売員のプロフェッショナル化が進むことも顧客にとってはメリットでしょう。
改正に伴うデメリットと注意点:顧客にも“選ぶ力”が求められる
メリットが大きい一方で、デメリットや更なる顧客側の商品の理解力向上も必要になってきます。
どんな保険に入ればいいかわからず、なんとなくこれまでは「おすすめの保険を教えてください」と販売員に任せていた人にとって、複数の商品を比較検討して自分で選ぶことは大きな負担になります。
保険は専門性が高く、一般の人が商品内容を完全に理解するのは難しいため、「意向確認」が形式的な書類手続きに終始し、実質が伴わないリスクも拭い切れません。
また、制度改正に伴う販売現場の混乱も予想されます。特に中小の代理店では、多数の保険商品を的確に説明する体制を整えるのは容易ではないため、デジタル化や販売員教育には相応のコストがかかり、対応できない代理店は廃業や統合を余儀なくされる可能性があります。自分の担当者がわからなくなるのは、不安になります。この点もデメリットかもしれません。
保険選びに必要となる「顧客力」とは何か
今回の改正で最も重要なのは、保険選びの主役が代理店から顧客に移るという点です。
これまでのように「この保険がいいですよ」と勧められるまま加入する時代は終わりを迎えます。
これからは、顧客自身が以下のことを求められる時代になっていくでしょう。
自分のニーズを言語化する力。
「なんとなく不安だから」ではなく、「死亡時に家族に3000万円残したい」「がん治療の先進医療に備えたい」など、具体的にどんな保障が必要なのかを伝える必要があります。
基本的な保険知識。
定期保険と終身保険の違い、掛け捨てと貯蓄型の特徴など、ある程度最低限の知識がないと比較検討ができません。顧客自身が保険の種類や用語の意味を軽くでもいいので知っておく必要があります。
質問する力。
わからないことを的確に質問し、納得できるまで確認する姿勢も重要です。販売員と顧客の間には、情報格差があって当然です。ですが、そのギャップを埋める努力はするべきでしょう。その埋める方法が質問力です。
しかし現実には、多くの人がこうしたスキルを持ち合わせてはいないでしょう。
だからこそ、益々公平中立な専門家のサポートが必要になります。
独立系FPが担う役割:中立の立場だからできるサポート
ここで注目すべきなのが、独立系の有料相談型FP(ファイナンシャルプランナー)の存在です。
今回の規制強化により、独立系FPの価値はより一層高まっていくことが予想されます。
独立系FPの最大の強みは、特定の保険商品を販売しないことです。
手数料収入がないため、顧客を特定の商品に誘導する動機がありません。あくまでもクライアントファーストで完全に中立な立場でアドバイスできるのが特徴です。
保険加入前の事前相談で果たす役割としては、代理店を訪問する前の「意向」を明確化し、情報格差を埋めるための役割が担える。顧客のライフイベントや目標を確認し、ライフプラン全体を見渡し、本当に必要な保障額を算出が可能です。ここで役割を果たすことで、顧客が代理店で流されることなく主体的に選べるサポートができるでしょう。
複数提案の比較サポートも重要です。代理店から3つの商品を提示されても、どこがどう違うのか判断できない人は多いのでFPが保障内容、保険料、特約の必要性などを客観的に分析し、顧客の状況に最も合った選択肢を示すことも重要な役割です。
既契約の定期レビューも見逃せない。家族構成の変化や経済状況の変化、外的要因なども踏まえて、今加入している保険が本当に自分に合っているか、定期的なレビューと、客観的な評価を行うことが大切です。
さらに、保険だけでなく家計全体での最適化を考えられるのもFPの強みでしょう。保険料の支払いが家計を圧迫していないか、貯蓄や投資とのバランスは適切か、といった視点で総合的にアドバイスできるところに果たすべき役割があるといえます。
まとめ:保険加入は「FPに相談してから代理店へ」の時代へ
今回の規制改正は、メリットが大きい一方で、より顧客が「自分で考え、判断する力」を求められる。
しかし、それは決して一人で悩むことではなく、むしろ、専門家の力を借りながら、主体的に選択する時代になったと捉えるべきでしょう。
ここに独立系FPの存在意義があります。
- 商品販売をしないため利益相反がない
- 有料相談のため特定商品への誘導がない
- 顧客の利益最優先で中立的なアドバイスが可能
「保険は代理店で加入するもの」から、「FPに相談してから代理店で契約するもの」へ。
この流れが定着すれば、真の意味での顧客本位が実現していきます。有料相談にはまだ抵抗があるかもしれませんが、数万円の相談料で数百万円~数千万円の保険契約を最適化できると考えれば、十分にコストに見合う投資でしょう。


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監修者情報:芳川 宏輔

株式会社ウィンカム
CFP認定ファイナンシャルプランナー
金融商品・保険商品を一切販売せずコンサルティングに徹するFP。
保険・住宅ローン・資産運用・NISA等サポートは多岐に渡る。
年間100回以上の面談を実施し、延べ相談実績は300回を超える。
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